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「設計」から見た「土地探し」

「設計」から見た「土地探し」

本日は設計者側から見た「土地探し」について書きたいと思います。土地探しをしておられるお客様の中には、結構な割合で土地探しに苦労しておられるお客様が多くて、「いろいろ探してるけど、なかなか良い土地が見つからない」「一生に一度の土地だから良い土地が出るまでとにかく粘ってみる・・・」などと嘆かれながら土地を長期間探しておられるお客様と本当によく遭遇します。

営業目線で行くと、お客様のご希望に沿った地理的・立地的条件をクリアした、見た目や道路付けの良い、土地の形が綺麗な、かつ、お客様のご予算内でお買い求め頂ける「良い土地」をご紹介して・・・という目線から土地探しと向き合うものですが、設計者側から見るとまた別の目線で「土地探し」を見てしまうものです。本日はそんな、土地探しにお悩み中のお客様の参考・お役に立つのであれば、と思いブログを書かせて頂きたいと思います。

 

まず最初に、例えばの話。

このブログを読んでおられる土地探し中のあなたには、仮に1つ自分の持ち土地があったと想像してみてください。数年前にご両親様から贈与を受けた、建築希望エリア内にある60坪の土地です。

さて、現在この土地は「畑」です。あなたはこの土地に家を建てますか?それとも別の土地を買いますか?

今度はその60坪の土地は住宅地にあり、「周囲3方向を別の住宅に囲まれて」います。あなたはこの土地に家を建てますか?それとも別の土地を買いますか?

さらに今度は、その60坪の土地は「前面道路の道幅が3.5メートルとなっており、車の離合が少ししにくい土地」です。あなたはこの土地に家を建てますか?それとも別の土地を買いますか?

大抵の方は、「土地を持っている」のであれば、その土地に多少の不足や不満があっても、そこに自分の住宅を建てようと検討を始め、実際その土地に自宅を新築されます。それは別の土地を買う必然性を感じないからでしょう。自分の持ち土地に建築するのが当然であり、そこにどうやったら快適で、オシャレでカッコ良い、暮らしやすい間取りの家を建てるかに注力して行かれます。

もちろん、その持ち土地に、著しい法的規制の制限があるとか、土地の形状等による重大な不備・不足がある、土地の造成などに莫大なお金が掛かる等あれば、新たな土地を購入されるかも知れませんが、実際持ち土地があるお客様の大多数は自分の土地に家を建てられます。

ところが、「土地を新しく購入する方」からすると、畑の土地、周囲3方向を別の家に囲まれた土地、道幅3.5メートルで車の離合が少ししづらい土地は全部「良くない土地」に分類され、こんな土地を買うぐらいなら、きっと「もっと良い土地があるはず」となって、そんな土地は大抵見向きもされません。

そういう意味では、新しく土地を購入される方の「土地に対する評価基準」は、持ち土地がある方に比べて、はるかに判断基準が厳しく、次元が高くなってしまい、そう簡単には「良い土地」が出て来ない、と仰られるのも頷けます。自らで土地に対する許容範囲を狭めてしまっているとも言えます。滅多に出る事のない、ごく限られた優良な土地を多くのお客様が同時に探し回り、結果とんでもない倍率でしか遭遇する事も出来無い状態に陥ります。

 

さらにもう一つ想像してみて下さい。あなたは土地探し中です。

仮に田主丸町で60坪の土地が500万円で売りに出ています。周囲3方向を築年数が経過した別の家に囲まれています。現状は土地自体も畑になっています。どうでしょう・・・その土地、買いますか?多分買わないのではないでしょうか?なぜなら「良くない土地」だからです。見た目も冴えないし、眺望も悪いし、「もっと他に良い土地があるはず」だからでしょう。

それでは逆に60坪の土地が3000万円で売りに出ました。周囲3方向を築年数が経過した別の家に囲まれています。現状は土地自体も畑になっています。・・・エリアは花畑駅徒歩1分です。どうでしょう・・・その土地、買いますか?・・・多分即買いするのではないでしょうか?恐らく売りに出た当日に数十件の問合せがあり、販売開始から数時間で5件程は買付希望が入るのではと思います。なぜなら「良い土地」だからです。「こんな条件の良い土地2度とお目に掛かれないかもしれない」からでしょう。

全く同じ性質を持った土地なのにどうしてこうも反応が違うのでしょうか?土地を購入されるお客様目線目線からすると、「エリア」が変わっただけで全く同じ土地が「良い土地」になったり「悪い土地」になったり・・・。もちろん周辺の利便施設などに対する距離感や生活環境などの差はありますが。

でも設計者側からすると、その土地単体で見れば全く同じ設計条件の土地であり、お客様の住宅設計のご要望が同じであれば「花畑」の一等地に建つ家も「田主丸」の外れに建つ家も、同一の設計をして、同一の住宅ご提供する事になる訳で・・・そこに土地としての良し悪し、優劣の「差」があるのか?と考えた時に「全く同じ」としか感じられないのです。どちらの土地も良い家をご提供する上での設計上の優劣はありません。

こういうケースの場合、土地の周辺の見た目から受ける「印象の差」が原因となっているのかも知れません。「花畑」では周辺に空き土地なんてほぼ無い!!このチャンスを逃すまい!!となって、「田主丸」では、そこら辺にいっぱい空き土地がある・・・もっと他の良さそうな土地が売りに出るかもしれない!!というイメージの差でしょうか。しかし実際、土地が売りに出るという事に対しては、例え土地がいっぱいありそうな田主丸でも、その他のエリアであっても、相当な街中でも、そう買主に都合よくジャンジャン良さそうな土地が売りに出るなんて事は全くありません。

 

往々にして、「良い土地が無い」と仰られるお客様の大多数は、もちろん売り土地が出にくい難易度の高いエリア性だったり、一過性としてたまたま本当に良くない土地しか今は売りに出ていない、なんてケースもありますが、土地の見た目の奇麗さだったり、現状の土地の印象に結構引きずられて、土地の良し悪しを判断してしまったりする傾向があるように感じます。

実際には、私たち住宅を提供させて頂く側から見れば、キレイに造成されたばかりの、ピカピカの分譲地で住宅を設計させて頂く場合でも、このお土地ではお客様のご希望を叶える良い住宅の設計はかなりしずらいな・・・もっと他の土地にされた方が良かったのに・・・と感じてしまう時もあります。かえって旧宅地の、最初は見た目の印象が良くなかった土地が、住宅を建てるととんでもなく化けてみたりする事も。なので、あまり「最初の見た目」や「土地の印象」だけで、それぞれの土地を単純評価しない方が良いかも知れません。

 

家づくりにおける土地の購入は、「ただ土地を買いたい」から買うのではなく、「家を建てたいから土地を買う」のであって、最終的な完成形は「何も手を付けてない最初の土地の状況」ではなく、「家が建った後の土地の状況」である事を忘れないで下さい。

また、住宅会社を決める前に「自分で土地を探して、良い土地があったら土地を買って、土地が見つかったら住宅会社を探す」と仰られるお客様も多数おられます。否定をするものではありませんが、先程の通り、「家を建てたいから土地を買う」のであれば住宅会社と一緒に土地を探す方が、実際は賢明な判断かも知れません。

「家が建った後」を、家づくりを初めて経験するお客様が、単独で熟考し判断するのは難易度が高い事、と推測致しますし、不動産屋さんに相談しても「土地を紹介・提案」はしてくれるものの、「その土地に家が建った後」の事は相談には乗ってくれません。そういう観点からも住宅会社に相談しながら、土地を探すのは、最終的な土地+建物双方のバランスを見ての「良い住宅を取得する」という目的・行為に対して非常に有効な手段です。また総取得費用に対して様々な、土地購入を含む、コストを抑える提案もさせて頂く事が可能になるので、結果、お客様からすれば家づくりにおける支出の削減にもつながります。

住宅会社に相談するとムチャクチャ売り込みされて、そこで絶対建てないといけなくなるのでは無いか?という警戒感から、あまり相談したく無いな・・・と思えるかも知れませんが、住宅会社からしたらお客様に「他社に決めた」なんてお断りされる事は良くある事ですから、お客様が思っている以上に、そこら辺はあまり気にしていない、というのは本音かも知れませんね。

あとは・・・私たち設計者を信じて下さい!!多少難点がある土地でも、「良い家」設計してみせます!!・・・私たち設計者からすると、多少難点がある土地くらいの方が設計の時に燃えるものなのですよ・・・(笑)

あなたも思い切って、相談に乗ってくれる「住宅会社」を少しだけ頼ってみて、土地探しをしてみては如何でしょうか?

 

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